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宮脇機械プラント株式会社

兵庫県一円で50 年以上にわたって培ってきた信頼をベースに工作機械システムの専門商社として躍進を続ける宮脇機械プラント株式会社。
創業以来の理念である“ユーザーとメーカーを技術・情報・サービスで結ぶプロデューサー”に磨きをかけて、さらなる成長を目指す経営戦略について、宮脇隆一郎会長と岡本淳社長に伺った。

“ユーザーとメーカーを技術で結ぶ”
人を育て、地域に根ざして躍進する
工作機械システムの専門商社


宮脇機械プラント株式会社
宮脇機械プラント株式会社
取締役会長
宮脇 隆一郎 氏


宮脇機械プラント株式会社
宮脇機械プラント株式会社
代表取締役社長
岡本 淳 氏


所在地  兵庫県明石市北王子町2-26
       TEL 078-927-1181(代)
創業    1966年7月
従業員数 27名(2018年4月時点)
資本金   5,500万円
年商    58億円(’18/3月期)
事業内容 機械加工システムのエンジニアリングと販売
U R L   https://www.mkp-fa.co.jp

宮脇機械プラント株式会社
本社

ales & Service 
Sales & Service 

ものづくりのための最適の
機械システムを兵庫県一円の
お客様にプロデュース


 阪神・播磨工業地帯を中心に、日本経済の牽引役として大きな役割を果たしている兵庫県の製造業。宮脇機械プラント株式会社は、工作機械やプレス、鍛圧・板金機械、レーザー加工機、射出成形機などの各種機械から、生産システムのエンジニアリングまで手がける工作機械システムの専門商社として、地域のものづくりを支えている。
 「世界的に名を知られる大手企業から、それを支える関連会社、ティア1・ティア2メーカーなど、非常に幅広いお客様とお取り引きいただいています。ロボットを含めたものづくりの機械を専門とする商社としてSI(システムインテグレータ)の機能まで有している企業は、兵庫県ではほかにないと思います」。今年4月、プロパーとして初めて創業者である宮脇隆一郎会長からバトンを受け継いだ岡本淳社長は、同社の特長についてこう語る。
 同社には、本社のほか岐阜県羽島市に中部営業所があり、大手重工メーカーを中心にした航空機関連のお客様をサポートしているが、兵庫県一円での営業を基本としている。創業来、地域のものづくりのニーズにきめ細かく対応する技術系専門商社として、顧客の利益に貢献し、信頼を得てきた。
 ものづくりの機械は、ワークの素材や加工目的によって多岐にわたる。例えばマシニングセンターにもさまざまな種類があり、各メーカーが特徴ある機械を製作している。同社が取り扱う機械は、それぞれの分野のトップメーカーを中心に多種多様な製品を網羅している。
 「企業としての規模は小さくとも、その分野で他に真似のできない素晴らしい機械を造り、世の中に評価されているメーカーもたくさんあります。ただ機械だけを販売するのではなく、お客様のものづくりに役立つ良い機械を造るメーカーを開拓して、お客様に提案することも大切な役割です」。
 宮脇会長は、そうした会社の使命を「ユーザーとメーカーを技術・情報・サービスで結ぶプロデューサー」と表現する。
 「お客様と一緒に考えて潜在的なご要望“ wants”を顕在的なご要望“ needs”に仕立て、最適な生産システムを提案し、お客様が納得できる解決法“ solution”をプロデュースすること。
自らは黒子(プロデューサー)に徹しつつ、お客様の課題を解決し、満足度を高めることが当社の役割だと、創業以来考えてきました。創業から50余年を経て、ようやくプロデューサーとしての役割が名実ともに果たせる会社になってきました」。

宮脇機械プラント株式会社

H i s t o r y

業界の習わしにとらわれず
専門商社として
あるべき姿を追求する


 家業の産元金物卸商を継いでいた宮脇会長が、業界新聞でたまたま工作機械の広告を目にして「これを売ってみたい」と思い立ったことが、1966 年の創業のきっかけになった。高度経済成長期ではあったが、工作機械の普及は一巡しており、周りからは「今さらやめた方がいい」と言われたという。
 「実際にやってみて分かったのは、今だと思い立った時がスタートで、時期が遅いということは事業の成功に関わりがないことです。それはどんな仕事でも同じではないでしょうか」。
 創業当時、宮脇会長は工作機械についてはまったくの門外漢で、機械業界の知識も経験もなかったという、まさに徒手空拳のスタートだったが、それだけに「業界の習わしにとらわれず、工作機械の専門商社としてあるべき姿を追求できた」という。そのあるべき姿こそが「ユーザーとメーカーを結ぶプロデューサー」であり、信頼される専門商社となって業界全体の地位を向上させることだった。
 そのためには「トップメーカーの製品をトップのユーザーに販売していくこと」が必要であり「当時の当社でははるか雲の上のようなお客様の門を叩かないといけなかった」。まずは技術や製品が大手企業から認められている工場など規模は小さくてもしっかりした会社を中心に営業活動を展開し、機械メーカーの営業担当者には自宅まで訪ねて業界動向等の情報を得るなど、あるべき姿に向かっての活動を一歩一歩進めていった。
 岡本社長が入社した1984年には、信頼される専門商社としてのベースが徐々に築かれていた時期であった。「入社当初は、車に住宅地図を積んで1日に10~15軒と営業に回っていました。田んぼの脇に車を止めると、遠くからコーン、コーンとプレスを打つ音が聞こえる。その音を頼りに飛び込みで営業することもありました」。岡本社長は「都合良く銀行の営業マンと間違われ、話を聞いてもらうことができました」と笑って振り返るが、当時あることに気がついていた。「多くの方がプレス機に挟まれて指を無くされていました。そんな事故を起こさない安全なプレス機を何としても普及させていかなければならない」と痛感し、仕事にかける想いも強まったという。
 同社にとって一つの転機になったのは、1988年に台湾リードウェル社の小型立形マシニングセンターの輸入販売を開始したことだった。販売促進から納入、据え付け調整、運転引き渡し、アフターサービス・修理までの一切を宮脇機械プラントが担当することになった。
海外製の機械を手頃な価格で購入でき日本のユーザーが使い易くなるよう、自社で制御装置を交換、調整した。そのために技術者の育成も始めた。1996年には技術部門をシステム技術部に昇格し、顧客のFA化ニーズへのサポートや設置・運転引き渡しなどの要請にも対処できるテクニカルサービスの強化を図った。こうしてトータルでのサポート力の向上に取り組みつつ経験・ノウハウを積み重ねてきたことで、各種加工機とロボットシステムを組み合わせた最適な生産システムをエンジニアリングできるSI 機能を備えた専門商社へと発展してきた。
 2018年3月には、本社1階に双腕ロボットや7 軸ロボットなどを工作機械やプレス機と組み合わせた自動化システムを常設で展示する「ロボットラボ」を開設し、SIとしてのプロデュース力を広くアピールしている(COLUMN参照)。

宮脇機械プラント株式会社

Management

プロの矜持を持った
人材を育成していく

 宮脇機械プラントでは即戦力に頼らず新卒人材を時間をかけて育成する方針を採る。特に営業マンは16名全員が文系出身の新卒入社で、一見、非効率にも思えるこの方針も自社の理念に共鳴してくれることが最も大事だとの考えに基づいている。採用の際には宮脇会長自ら家庭を訪問し、両親に対して、社員を会社の財産として大切に育成することを誠実に訴える取り組みを続けてきた。
 採用後の教育には日本工作機械販売協会(日工販)や機械メーカーの研修などを活用し、新入社員には1年で日工販のセールスエンジニア資格の取得を義務づけている。「テクニカルなスキルも大切ですが、お客様から信頼を得るには、個々の人柄など人間力も大切です。そうした営業マンを育成してくために、教育にはお金と時間を惜しまずかけてきました」(宮脇会長)。
 また、同社では2006年より営業支援ツールを導入し、営業日報から受注情報を集約して一元管理し、独自の計算方法を用いて受注見込や一ヵ月後の見通しを立てている。毎朝マネージャー会議を開き、全社員がこうした情報を共有するとともに、経営をオープンにするために毎月1回、経営会議を開いている。「受注状況のほか、新聞などには載らない業界の最新情報や動向を伝えています。自分たちの仕事が日本のものづくりのトップレベルにいることを常に意識して、進むべき方向を考えてもらいたいからです」(宮脇会長)。
 宮脇会長が続けてきた新卒採用と人材育成の取り組みは、岡本社長にも受け継がれ、社長就任後で最初の採用となる新入社員の実家をさっそく訪れた。岡本社長は「会長が作られた会社の理念に、『プロの矜持を持って仕事をする』という一文があります。簡単に傷つくようなプライドではなく、内なる価値観、信念である『矜持』を持った人材を育てていきたい」と、抱負を語る。

宮脇機械プラント株式会社

F u t u r e

売上100億円を通過点にする
成長戦略を描く


 工作機械の需要は設備投資の変動により大きく左右される。そのため、宮脇機械プラントでは日本工作機械工業会が年初に発表する内需の1%を指標に年間の売上目標を決めている。内需が6500億円なら、65億円が売上目標となる。
 「内需の1%の売上は、兵庫県下で一定のプレゼンスを確保できる数字になります。お陰さまで近年はお客様の裾野が広がり、その目標を常時達成できる会社になりました。これからは100億円の売上を常時達成できる企業にしていきたい」と、岡本社長は今後の夢を語る。
 「これまではトップがすべてを見渡せる範囲で仕事をしてきましたが、これからは任せる部分は任せて仕事を広げていく。任せられる人材を育て、次の世代へつないでいくことが、2代目社長としての使命だと思っています」。
 同社では、20歳代から30歳前半の若い営業マンが順調に育っており、人手不足を補う省人化・無人化システムのニーズも高まっている。岡本社長はそれに加えてベテラン社員の意識改革で、新たなビジネスチャンスや市場の開拓を目指していきたいという。
 「明確なビジョンとしっかりした戦略・戦術があって、人材が育っていけば、100億円は成長の通過点になっていくでしょう」と、宮脇会長も岡本社長の手腕に期待する。


宮脇機械プラント株式会社

宮脇会長の創業以来の思いを「会社と社員がめざすこと」として、下記のように体系的にまとめている。

【経営の理念】
お取引先と互いの価値を高め合う関係をつくります
【行動指針】
人と組織で課題に挑戦し仕事の質と価値を高めます
【社会貢献】
地域社会の豊かさづくりに貢献し、当社業界の価値を高めます
【会社の使命】
ユーザーとメーカーを技術で結ぶプロデューサーの役割をはたします
【戦略方針】
お客さまの生産現場の付加価値を高め安全安心を追及します



C O L U M N

宮脇機械プラント株式会社

ロボットのショールームでプロデュース力をアピール!

 2018年3月、本社1階に開設した「ロボットラボ」は、ロボットを使った自動化システムを展示する常設のショールームだ。双腕ロボットや7軸ロボットなど合計5台のロボットが、工作機械やプレス機と連動して、自動でワークを加工したり、検査やピッキングする様子をデモンストレーションする。
 展示の一部は、経済産業省・日本ロボット工業会が実施する「ロボット導入促進のためのシステムインテグレータ育成事業」の補助金を受けて購入したもの。「システム技術部の若手エンジニアが設計した案が採用され補助金を受けることができました。当社にとってもエンジニア本人にとっても、大きな自信になりました」(岡本社長)。
 8月には「つなぐロボット~繋がる機械」と題したプライベートショーを開催し、2日間で175社400人以上の参加者を集めた。
 「ロボット導入のニーズは、従来は省人化・無人化による生産のコストダウンが主だったのですが、近年は人手不足への対応に変わってきています。全体の売上に占めるロボットシステムの割合は現在は数%ですが、このショールームを通して当社のプロデュース力をアピールしたい。その評価が他の売上につながっています」。
 さらに、岡本社長は「ショールーム開設を当社のSI元年として、SI案件の受注増を目指していく」と、未来を見据える。
宮脇機械プラント株式会社



エンジニアリングからメンテナンスまで、
お客様の環境に最適な生産システムをご提案


宮脇機械プラント株式会社

導入プロセス

宮脇機械プラント株式会社
【STEP1 ヒアリング】
営業部や技術部によるヒアリング。潜在的なご要望(wants)を顕在的なご要望(needs)に明確化。お客様のモノづくりの考え方やプロセスも理解します。

宮脇機械プラント株式会社
【STEP2 コンセプト提案】
ご要望や課題を解決するために、お客様の目線に立ったコンセプトを構築。その実現のための、具体的な生産システムの仕様・機能を提案します。

宮脇機械プラント株式会社
【STEP3 メーカー・機械選定】
機械メーカー各社からお客様のご要望に合わせて最適な製品・システムをピックアップ。将来性や規格変更時の対応力や価格・納期など、総合的な視点で選定します。

宮脇機械プラント株式会社
【STEP4 制作・納品】
治具・ツーリングの製作、ロボットプログラミング、現場での立ち上げなど、選定した製品・システムを、お客様の環境に合わせて合理化・最適化します。

宮脇機械プラント株式会社
【STEP5 立ち上げ・検収アフターフォロー】
導入・稼働後もMRO(メンテナンス・リペア・オーバーホール)に対応。トラブル時は当社を通して、各機械メーカーの技術者がスピーディに対応します。



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Posted by マガジン at 13:50 │企業紹介